作品一覧
バチカン美術館の所蔵作品をすべてご覧ください。フィルターを使って、作家、コレクション、時代、作品タイプ別に探せます。ルネサンスの傑作から古代彫刻まで、心を動かす作品を見つけましょう。
#1
『アダムの創造』(システィーナ天井画)
神とアダムが空気の薄い距離をはさんで手を伸ばし、触れる直前の瞬間をミケランジェロが凍結させています。システィーナの天井で、人間の可能性が火花を待っています。
身体と尊厳に対するルネサンスの見方を決定づけています。
#2
#3
#4
『最後の審判』
厳しいキリストの周囲で肉体の渦が巻き、恐怖と希望がうねります。ミケランジェロは終末の裁きを、生々しい解剖学と感情で祭壇壁いっぱいに描いています。
対抗宗教改革期のスケールと迫力を象徴しています。
#5
#6
『キリストの変容』
一枚に二つの場面が重なります。山上で光り輝くキリストと、下で少年を癒やそうともがく使徒たち。ラファエロ最後の傑作が、幻視と現実の切実さを結びます。
ラファエロ最晩年の、最も複雑な祭壇画です。
#7
#8
『キリストの埋葬』(『キリストの埋葬』)
カラヴァッジョはキリストを大理石の板へ降ろし、その板は私たちの空間へ突き出すように迫ります。嘆きと重みが強烈な光に出会い、手がこわばり、布が滑り、身体が傾きます。斜めの構図が祭壇と墓を結び、信仰をドラマとして痛いほど近くへ引き寄せます。
バロックの自然主義とキアロスクーロを決定づけています。
#9
『聖体の論議』
天と地が聖体を中心に集います。下では聖人と学者が輝く聖櫃を見つめ、上では三位一体が金色の弧を結びます。ラファエロは神学を光と秩序の共有体験に変えています。
署名の間のプログラムを支える要石です。
#10
『リビアの巫女』
巨大な書物を持ち上げようと身をひねるリビアの巫女に、ミケランジェロの逆説が現れます。男性モデルのような筋肉が、橙とターコイズの衣の下で生きています。
身体の回転表現の最高峰の研究です。
#11
『デルフォイの巫女』
若い巫女が振り向いて耳を澄まし、唇はわずかに開き、ターバンは見えない風に揺れます。ミケランジェロは「注意」を肉体にし、言葉の直前の瞬間を色彩と石のような筋肉で止めています。
回転しながら均衡を保つ人体表現の典型です。
#12
『奇跡の大漁』(タペストリー)
キリストに導かれ、ペトロの網は魚でふくらみます。ラファエロの下絵がブリュッセルで織られ、風と水と信仰がきらめく糸になって教皇の場を飾りました。
タペストリーとしてラファエロの造形言語をヨーロッパに広めました。
#13
『聖エラスムスの殉教』
冷静な建築の下で、恐怖は車輪で進みます。処刑人が巻き上げ機を回し、聖人は耐えます。プッサンの秩序と理性が、生々しい苦痛を枠づけます。
プッサンのローマ古典主義を支える基軸作品です。
#14
『フォリーニョの聖母』
雲上に浮かぶ聖母子の下で、寄進者が跪いて感謝を捧げます。遠景には燃える球体が町を襲います。ラファエロは私的な誓いを、静かな公共の信心へ整えています。
盛期ルネサンスのサクラ・コンヴェルサツィオーネの模範です。
#15
『キリストの誘惑』
一枚に三つの試練が描かれます。荒野、神殿の頂、山上で悪魔がキリストを試し、下では癒やされた癩病人が感謝を捧げます。ボッティチェッリは教義を明快で優雅な舞台にしています。
ミケランジェロ以前のシスティーナ連作を支える要の一つです。
#16
ネロのドムス・アウレア(黄金宮殿)出土の巨大ポルフィード(斑岩)盤
深い紫に淡い結晶が散る皇帝の石を、一つの塊から巨大な盤へ彫り出しています。かつて皇帝の贅沢だった素材が、今はパンテオン風の円形の間の中心を支えます。
皇帝のポルフィード(斑岩)が、権力そのものとして物になっています。
#17
『プリマ・ポルタのアウグストゥス』
アウグストゥスが軍に語りかけるように歩み出し、胸甲は流血なき勝利を宣言します。イルカに乗る小さなクピドが、ウェヌスと海の権力を示します。政治、血統、落ち着きが一体になっています。
ローマ皇帝肖像の設計図となりました。
#18
『球体の中の球体』(スフェラ・コン・スフェラ)
完璧な球が裂け、内側に歯車のような破断面が現れます。ポモドーロのブロンズは空と人々を映し、宇宙と人間の仕組みが緊張で軋む気配を示します。
古代と現代を橋渡しする、象徴的な現代作品です。
#19
『キリストの復活』(ソビエスキの間のタペストリー)
キリストが旗を掲げて墓から躍り出ると、兵士たちはよろめきます。ルーベンスの爆発的な斜線が、絹と羊毛の艶と質感になって教皇の場を飾ります。
バロックのエネルギーがタペストリー織りで変換されています。
#20
栄光の聖母子と諸聖人
温かなヴェネツィアの光の中で聖母子が上昇し、下では聖人たちが集います。ティツィアーノは色彩と視線、そして息づくような静けさで天と地を結びます。
ヴェネツィア派のコロリートが円熟した姿を示しています。
#21
『コラの罰』(コラの反逆)
ボッティチェッリは『民数記』第16章を一つの舞台に凝縮し、祭司職への反逆と大地の裂け目、香の煙を明快に描きます。ローマ風建築が、正しい権威が民を守るという静かな教訓を支えています。
ミケランジェロ以前のシスティーナ連作における重要作です。
#22
『最後の審判』
金地が燃えるように輝く中、マンドルラのキリストが裁きに戻ります。天使のラッパ、ミカエルの秤、昇る祝福と落ちる滅びが、中世末の明快さで畏れを形にしています。
中世末の『最後の審判』図像の模範作です。
#23
ステファネスキ三連祭壇画
旧サン・ピエトロ大聖堂のための両面祭壇画です。表は玉座のペトロと寄進者、裏はペトロとパウロの殉教。ジョットは教義を重みと空間、そして人の存在感へ変えています。
ジョットの量感表現が、トレチェント(14世紀)初期の祭壇画を支えています。
#24
#25
シクストゥス 4世がバルトロメオ・プラティナをバチカン図書館長に任命する
玉座の教皇を挟んで廷臣が立ち、学者が跪いて銘文を指し示します。メロッツォの冷静な遠近と肖像表現が、バチカン図書館の物語を始動させます。
バチカン図書館の創設を象徴するイメージです。
#26
『ピエタ』
クリヴェッリの『ピエタ』は宝石の聖像のように輝き、聖母はキリストを金地に抱きます。盛上げ金彩と鋭い線が嘆きを「貴さ」へ変え、静かな祈りのために研ぎ澄まされています。
後期ゴシックと初期ルネサンスを融合した、クリヴェッリの代表的な様式です。
#27
聖ロレンツォ、トゥールーズの聖ルイ、聖ヘルクラヌス、聖コンスタンティウスと聖母子
穏やかな聖母がペルージャの聖人たちを空の下に集めます。ペルジーノの柔らかな光と均整が祈りを調和へ変え、静かなウンブリアのバランスがラファエロ初期の眼差しを育てました。
ラファエロに影響したウンブリア的調和の原型を示しています。
#28
『東方三博士の礼拝』
ヴァザーリはキリストのもとへ色と動きを押し寄せさせ、古代遺跡をぬって長身の人物が流れ込みます。マニエリスムの優雅さが信心を祝祭劇に変え、ルネサンス美術史を書いた画家自身が描きました。
ヴァザーリのマニエリスム様式を示す、バチカンでは貴重な作例です。
#29
『さくらんぼの聖母』
マリアは幼子を支え、幼子はさくらんぼを差し出します。バロッチの柔らかな色と溶ける輪郭、視線の渦が教義を家庭の温もりへ変え、感情が先に導き信仰が後に続きます。
バロック的な優しさと色彩へ向かう重要な一歩です。
#30
天体観測
冷たい空の下で観測者が長い望遠鏡を向け、惑星は小さな円盤として光ります。クレーティは科学を静かに描き、慎重な観察が支援に値することを筆とレンズで訴えています。
天文学支援を訴える早い視覚的プロパガンダです。
#31
『エデンの園のアダムとエヴァ』
楽園は生命で満ち、猛獣や鹿、猿、鮮やかな鳥が茂みに集います。アダムとエヴァが禁断の実へ手を伸ばす瞬間を、ペーターは毛並みと羽根を科学的な精度で描き、創世記を巨大な自然誌のページにしています。
聖書の物語と自然誌的な精密さを結びつけています。
#32
スキピオ・バルバトゥスの石棺
ルキウス・コルネリウス・スキピオ・バルバトゥスのための重厚な凝灰岩の棺です。古いラテン語の韻文が、血統、武勇、公務という共和政ローマの徳を石に刻み、ローマの一族墓から伝わりました。
初期ラテン碑文学とローマの自己表象を支える基礎資料です。
#33
『アポクシュオメノス』(垢すりの青年)
競技者がストリギルで腕の油をこそげ落とします。リュシッポスに由来する細身のカノンと、空間へ押し出すポーズが、正面だけでなく周回して見る身体を求めます。
リュシッポス的カノンと、360度鑑賞の考え方を体現しています。
#34
#35
ベルヴェデーレのヘルメス
理想の青年が静かなコントラポストで立ち、片腕に外套を掛け、もう一方はかつてヘルメスの杖を持っていました。長く『ベルヴェデーレのアンティノウス』と呼ばれ、優雅さと比例の学習モデルになりました。
理想的な青年像の学習モデルとして長く参照されてきました。
#36
『勝利のペルセウス』(メドゥーサの首を掲げて)
英雄は冷静に立ち、剣を掲げ、メドゥーサの首を高く示します。カノーヴァの磨かれた大理石が古典理想を復活させ、危機の後の静けさを、ナポレオン戦争期のバチカン再建と重ねています。
古典理想の新古典主義的再生を示しています。
#37
ジャガー像
しなやかなブロンズの猛獣が一歩を踏み出し、肩は盛り上がり、尾はうねります。跳びかかる直前の緊張が、簡潔で決定的な造形と深いパティナで生きています。
動物の動きを捉えたローマの優れたブロンズ習作です。
#38
メレアグロス像
カリュドーンの猪狩りの後、狩人は休息します。腕に外套、手には槍があったはずで、脇には猟犬。名高いギリシア型を伝えるローマ複製が、英雄性を「落ち着き」で示します。
名高いギリシアの英雄像タイプを伝えるローマ複製です。
#39
『眠るアリアドネ』
衣をまとった眠り手が横たわり、片腕を頭上に置き、足首を交差させます。長くクレオパトラと誤解されましたが、今はナクソス島に置き去りにされたアリアドネとして読まれ、ヘレニズムの優美さがローマ大理石で柔らぎます。
横たわる女性像タイプの傑作です。
#40
『ベルヴェデーレのトルソ』(ヘラクレスのトルソ)
座った身体に縄のような筋肉がねじれ、断片のまま圧倒します。アポロニオスの署名をもつこのトルソは、渦巻く力でミケランジェロのシスティーナの肉体を形作りました。
ルネサンスとバロックの人体表現の基準となった作品です。
#41
金鍍金のヘラクレス(ヘラクレス・マスタイ)
ドームの下で等身大以上のヘラクレスが金色に輝きます。腕には獅子皮、手元には棍棒とリンゴ。古代の金鍍金ブロンズが希少なまま残り、皇帝の工芸が力を光へ磨き上げています。
金鍍金されたローマのブロンズが希少な形で残っています。
#42
ブラースキのアンティノウス(ディオニュソスとしてのアンティノウス像)
ハドリアヌス帝に愛されたアンティノウスがディオニュソスとして現れます。若い顔、蔦の冠、柔らかな外套。肖像と神格、喪失と美が溶け合い、ローマが悲しみを崇拝と大理石へ変える方法が見えてきます。
アンティノウスの主要なローマ肖像タイプです。
#43
聖ヘレナのポルフィード(斑岩)石棺
コンスタンティヌス帝の母のための「皇帝の紫」の石です。巨大な斑岩の棺に騎兵戦の浮彫が走り、最も硬く希少な素材が地位と記憶を永遠へ変えています。
キリスト教王朝が皇帝のポルフィード(斑岩)を用いた例です。
#44
コンスタンティナのポルフィード(斑岩)石棺
コンスタンティヌス帝の娘にふさわしい紫の棺に、葡萄蔓と葡萄を収穫するプットーが躍ります。異教の図像がキリスト教的意味へ滑り込み、皇帝の石の上で葡萄酒と蔓が聖体へ近づきます。
バッカス的図像を初期キリスト教が再利用した好例です。
#45
古代ローマの二頭立て戦車(ビガ)
古代のレース用車体が大理石で甦ります。古代断片から復元された二頭立て戦車が、浮彫で輝く車前板を見せ、博物館のホールに競技と凱旋の疾走感を呼び戻します。
ローマの競技文化と凱旋の文化を想起させます。
#46
ペルシア戦士像(ペルシア人捕虜)
異国風の装いの捕虜が立ちます。フリュギア帽、文様のズボン、重い外套。ローマは勝利を示すために異邦人をこう描き、ここでも抑制された雰囲気の中に、帝国が世界を従えるというメッセージが刻まれています。
征服された異邦人を表すローマの典型像です。
#47
バチカンのナオフォロス(神殿を捧げ持つ祭司像)
黒く磨かれた石の中で、祭司が小さな神殿を両手に捧げ持って進みます。小さな祠の中には神が立ち、背柱の鮮明なヒエログリフが永遠の祈りを運びます。
エジプト後期のナオフォロス型の教科書的作例です。
#48
ハトシェプスト女王とトトメス 3世の石碑
整った石灰岩の面に王名と賛辞が記されます。ハトシェプストとトトメス 3世のカルトゥーシュが並び、浅く鋭いヒエログリフが神の加護と安定した統治を呼びかけます。
エジプト第18王朝の重要な二人の統治者を結びつけています。
#49
「バチカンの貴婦人」の彩色ミイラ覆い布
死者の顔がリネンに描かれ、ローマ風の装いがエジプトの護符と並びます。首飾り、神々、守護の印。彩色覆い布は、現実的な顔と古い信仰を一枚に結び、永遠へ運びました。
ローマ=エジプト的な肖像表現と葬送象徴の融合を示しています。
#50
ジェドムウトの石棺
人型の木棺に、ヒエログリフ帯と守護神が彩色されます。赤、緑、青が安全を約束し、文字はエジプトの神々を通してジェドムウトのための祈りを語ります。
第3中間期の木棺彩色の優れた作例です。
#51
オシリス=アンティノウス像
ローマの像が、神格化されたアンティノウスを再生の神オシリスとして表します。硬い花崗岩のミイラ形の正面像に、若いローマ的な顔とエジプトの神の属性が重なり、再生と敬虔、そして帝国の広がりが示されています。
アンティノウス崇拝がローマ肖像とエジプト宗教を結びつけた代表例です。
#52
トゥヤ王妃像
花崗岩がトゥヤ王妃を讃えます。セティ 1世の王妃で、ラムセス 2世の母。冷たく耐久性のある石と正面性の姿勢が王権の持続を示し、かつら、密着した衣、銘文帯が第19王朝の権威を告げます。
ラムセス 2世の母である王妃の王権像として、第19王朝の重要人物を示しています。
#53
プトレマイオス 2世と王妃アルシノエ 2世の彫刻群
硬い石の二人像が、プトレマイオス 2世と妹で妻のアルシノエ 2世をエジプト王として示します。ギリシア系支配者がファラオの形式を採用して正統性を得た戦略が、花崗岩の重みそのものになっています。
エジプト神殿様式におけるヘレニズム支配者崇拝を体現しています。
#54
パルミラの葬祭レリーフ群
隊商都市パルミラの石灰岩胸像が墓龕を塞ぎました。大きな目、形式的な身振り、アラム語碑文が商人と家族を記憶し、ギリシア=ローマ的衣表現と近東の宝飾・ヴェールが混ざり合って身元を固定します。
アラム語碑文によってパルミラの姓名と親族関係を伝える一次資料です。
#55
ネクタネボ 1世の花崗岩のライオン像
ネクタネボ 1世の時代の花崗岩の伏せライオン二体が入口を守ります。凝縮した身体と警戒の頭部が王の守護を示し、カルトゥーシュは神殿の力を呼びかけました。硬い斑点状の石が彫刻であり建築の記号でもあります。
エジプト後期の重要な王ネクタネボ 1世の時代の守護像です。
#56
大型金製フィブラ(レゴリーニ=ガラッシ墓)
チェルヴェテリのレゴリーニ=ガラッシ墓出土の、前腕ほどもある金のブローチです。微細な粒金と歩むライオンが面を埋め尽くし、儀礼衣装で眩しく光ったオリエンタライジング期の至芸を示します。
王侯墓出土のオリエンタライジング期エトルリア金工の傑作です。
#57
「フェニキア=キプロス系」パテラ
レヴァントやキプロスの工房で作られ、エトルリアで珍重された浅い金属皿です。動物、ロータス、ロゼットの同心帯が中央の突起を巡り、紀元前 6世紀の地中海交流を器の上に描き出します。
レヴァント/キプロスとエトルリアを結ぶ地中海交易の証拠です。
#58
カラブレージのアンプッラ
香油のための小さなエトルリアの小瓶です。丸い胴と細い首に、ロゼットや波文、簡潔な動植物文が帯状に巡り、日用品が携帯できる意匠と交流の証になります。
香油と儀礼に関わるエトルリアの日常習慣を示す器です。
#59
トーディのマルス
等身大に近い戦士が献酒のために立ち、ブロンズ鋳造の甲冑姿が静かに構えます。ギリシア的コントラポストとイタリアの儀礼が融合し、銘文が神への奉献を告げます。
ギリシア的な立ち姿を備えたエトルリアのブロンズ鋳造の傑作です。
#60
多色彩の浮彫をもつ彩色石棺
ヘレニズム期エトルリアの土製棺に、低い浮彫と色が残ります。饗宴、行列、冥界の守護者が赤や黒、白で生き返り、葬送の箱が地位と安全な旅の約束になります。
エトルリアの葬送美術における浮彫と彩色の融合を示します。
#61
「オイノマオスの名匠」の骨壺(カイニアリー・アーン)
ヴォルテッラの骨壺で、正面に躍動的な神話場面が彫られています。「オイノマオスの名匠」と呼ばれる工房手に帰され、家族の灰を納める箱が小さな劇場となり、死者を英雄の記憶と都市の誇りへ結びつけます。
「オイノマオスの名匠」に帰されるヴォルテッラの骨壺彫刻の重要作例です。
#62
瀕死のアドニスを描く葬送記念物
小さな祭壇に、死の瞬間のアドニスが刻まれます。ギリシア神話がエトルリアの墓に移され、個人の喪失を循環する再生の希望へ結びつけ、家族の悲しみの言葉として神話が働きます。
ギリシア神話がエトルリアの葬送用途へ適応され、悲しみを再生の希望へ結びつけた例です。
#63
アッティカ黒像式アンフォラ(エクセキアス署名作)
アテネ屈指の陶工画家エクセキアスによる黒像式の傑作です。艶やかな黒いシルエットと鋭い刻線に、赤と白の加彩がきらめき、署名が作者の技量と自負をはっきり告げます。
エクセキアスによるアッティカ黒像式の最高水準を示す基準作です。
#64
アッティカ赤像式キュリクス(ドゥーリス作「イアソン」)
ドゥーリスによる精緻な赤像式杯で、内側トンドにイアソンと蛇、そして助けるアテナが描かれます。細いレリーフ線と淡い描き分けが、手のひらの中で神話を舞台に変えます。
赤像式杯の名手ドゥーリスによる代表的水準の作品です。
#65
後期コリントス式の円柱取手クラテル
コリントスの黒像式による大きな混酒器です。歩む動物やスフィンクスの帯が胴を巡り、地にはロゼットが散ります。柱のように立つ取手が形の名の由来で、宴席の器が初期ギリシア装飾の見せ場になります。
宴席の混酒器に表れたコリントスの動物フリーズ様式の典型です。
#66
アッティカ赤像式ヒュドリア(ベルリン・ペインター)
抑制の名手ベルリン・ペインターによる水瓶です。艶黒の空間に一人の人物が静かに浮かび、流れる輪郭線と控えめな細部が語ります。空白と沈黙が働き、古典期の落ち着きが日用品に蒸留されています。
ベルリン・ペインターの特徴である「黒地に孤立する人物」様式を示します。
#67
アッティカ赤像式アンフォラ(アキレウス・ペインター)
アキレウス・ペインターに帰される古典期盛期のアンフォラです。艶黒の地に一人の人物が静かに立ち、髪の毛ほど細いレリーフ線が息をします。落ち着いた衣と計測された余白が、器に静謐を宿します。
古典期盛期アテネの主要画工アキレウス・ペインターに帰される作品です。
#68
アッティカ赤像式カリュクス・クラテル(ボストン・フィアレの画工)
紀元前 5世紀中頃の混酒器で、「ボストン・フィアレの画工」に帰されます。広い胴に人物が流れる輪郭で動き、淡い陰影が静かな奥行きを与えます。雷文帯とパルメットが物語を枠づけ、宴席の器に神話が巡ります。
初期古典期の優れた画工「ボストン・フィアレの画工」に帰される作品です。
#69
幼児テレポスを抱くヘラクレス像
ヘレニズム彫刻群のローマ複製で、ヘラクレスが幼い息子テレポスを抱きます。獅子皮と棍棒が父を示し、幼児は上へ手を伸ばします。英雄の力と家族の優しさが、大理石で一つの神話になります。
英雄性と優しさを結びつけた名高いヘレニズム型のローマ複製です。
#70
アドラストゥスの碑文
アドラストゥスの名と短い本文を刻むローマの大理石板です。整った大文字と均一な間隔、語間点が文字を区切ります。一見素朴でも、言葉と手仕事と日常ローマを石に残す文書です。
ローマの姓名や定型句を伝える碑文学の一次資料です。
#71
クリウウス・マルティスの碑文(道路工事の記録)
クリウウス・マルティスの道路補修を記す碑文です。整ったローマ大文字で担当官と工事区間を示し、インフラが広報になります。支出と距離と権威が、石に書き付けられています。
ローマの道路行政と公共事業を直接示す一次資料です。
#72
新翼(ブラッチョ・ヌオーヴォ)
19世紀の新古典主義の長い採光回廊で、ローマ彫刻が整然と並びます。通路を歩けば『プリマ・ポルタのアウグストゥス』、巨大なナイル、皇帝像の列に出会い、回廊が権力と肖像のパレードへ変わります。
ローマの肖像彫刻と国家的イメージを示す新古典主義の代表的展示空間です。
#73
アテナとマルシュアス像
ミュロンの失われたブロンズに由来する場面で、アテナが捨てた笛から目をそらし、驚きと欲望に駆られたサテュロスのマルシュアスが手を伸ばします。選択が運命になる瞬間が凍結されています。
ミュロンの名高い『アテナとマルシュアス』のローマ複製として、厳格様式彫刻の画期を伝えます。
#74
パルテノン神殿の大理石断片
パルテノンの壮大な彫刻の一片で、ペリクレス時代の明快な襞と確かな輪郭、静かなリズムが残ります。断片でも、フィディアス的古典が西洋浮彫の基準となった理由が伝わります。
紀元前 5世紀のパルテノンに結びつくフィディアス的古典への直接的な連結点です。
#75
『アサロトス・オイコス』(掃かれない床)モザイク
ローマの超絶トロンプルイユで、食卓の床に骨や貝殻、皮、パン屑が散らかったように見えます。モザイク師ヘラクレイトスの署名が残り、宴の後の「散らかり」を機知と技術誇示に変えています。
名高い「掃かれない床」モチーフに基づく署名入りローマ・モザイクです。
#76
ニオベの子の像(キアラモンティのニオベの子)
悲劇のニオベの子たちの群像に属するローマ作品で、アポロンとアルテミスの見えない矢から逃げる子どもが描かれます。飛ぶ衣とねじれた胴体、上を仰ぐ視線が恐怖を運動に圧縮します。
名高いニオベの子群像のローマ複製として、神話的罰を運動として伝えます。
#77
ユリウス・カエサルの胸像
こけた頬、後退する生え際、緊張をたたえた思索の眼差し。大理石はカエサルを美化せずに示し、ローマ的リアリズムが意志と知性としての権力を刻みます。
ローマで最も有名な独裁官の正典的な肖像を形作っています。
#78
カンチェッレリア宮のレリーフ群
深く流れるトガの襞の中を、役人、兵士、擬人像が皇帝に従う壮大な行列が進みます。ルネサンス期の宮殿に再利用されながら、フラウィウス朝の壮観と秩序のプロパガンダが石に残りました。
フラウィウス朝の皇帝プロパガンダを示す重要な浮彫作品です。
#79
ハテリイ家の墓のレリーフ群
建設業に誇りをもつハテリイ家の葬祭レリーフです。クレーンや滑車で記念建築が立ち上がり、同時に葬儀の儀礼も描かれます。仕事が誇りとなり、記憶が物語になるローマの舞台です。
ローマの建設技術が実際に動いている姿を伝える稀有な視覚資料です。
#80
カラカラ浴場出土の競技者モザイク
巨大なカラカラ浴場の床に、レスラーや拳闘家、パンクラチアストが競技の最中で描かれます。名札や道具、冠が添えられ、白黒のテッセラが筋肉と動きを明快なリズムに変えています。
ローマの競技と浴場文化のスペクタクルを記録する資料です。
#81
善き羊飼いの小像
若い羊飼いが子羊を肩に担ぎ、岩場をやさしく歩みます。牧歌的モチーフが初期キリスト教の救いと配慮の象徴へ読み替えられ、信徒を慰める親しみやすい像になっています。
ローマの牧歌的型から導かれた、初期キリスト教の典型的イメージです。
#82
ヨナの石棺
初期キリスト教の石棺にヨナの物語が巡ります。海の怪物に呑まれ、吐き出され、蔓の下で休むヨナ。ヘブライの物語が、ここに眠る人の復活の約束へ静かに変わります。
ヨナの連作は、復活を示す初期キリスト教の重要な象徴です。
#83
ウィア・サラリアの石棺
ローマのウィア・サラリア沿いの墓地に由来する初期キリスト教の石棺です。オラント像、善き羊飼い、凝縮された福音場面が並び、ローマの記念形式が救いと共同体の希望の絵へ作り替えられています。
ローマの家族石棺に、初期キリスト教図像が体系的に示された典型例です。
#84
二人の兄弟の石棺
大理石の「連続絵」に聖書場面が行進し、ヨナ、ダニエル、ペトロとパウロが並びます。中央には髭のない二人の男性が刻まれ、血縁と信仰を同時に示します。
ローマの葬送形式に後期古代キリスト教図像が集約された代表例です。
#85
#86
キリスト受難場面の石棺
大理石の帯が受難を語ります。逮捕から埋葬までが、凝縮された象徴的場面として並び、希望と記憶のために刻まれています。
上層のキリスト教埋葬に用いられた、明快な後期古代の受難連作です。
#87
「樹木で区切られた」石棺(アナスタシス型)
細い樹木が場面を区切り、中心では冥府降下が示されます。キリストがアダムを引き上げ、ハデスの門は踏み倒され、救いが開かれます。
ラテン圏のキリスト教文脈でアナスタシスを中心に据える珍しい石棺正面です。
#88
トラディティオ・レギスを描く石棺正面断片
玉座のキリストがペトロに巻物を渡し、傍らにパウロが立ちます。「法の授与」が、権威と福音を一つの象徴に凝縮します。
キリストがペトロへ権威を委ねる、正典的な初期キリスト教図像です。
#89
「ベトスダ」型の石棺正面断片
キリストが命じ、床が持ち上げられ、波がベトスダの池を示します。癒やしが、一つの決定的な瞬間として刻まれています。
奇跡、慈悲、復活の希望を結びつける明快な初期キリスト教浮彫です。
#90
#91
アントニヌス・ピウス帝記念柱の基壇
鷲がアントニヌスとファウスティナを天へ運び、兵は儀礼の円陣で駆けます。帝政ローマの来世と式典が石に凝縮されています。
アントニヌス朝の神格化と軍事的葬送儀礼を伝える最重要資料です。
#92
プクマニ墓標(ティウィの葬送柱)
黄土の色で描かれた高い柱が墓所を示し、魂の道しるべになります。儀礼と土地と共同体のために作られた、式典の彫刻です。
ティウィの葬送実践と共同体の記憶の中心にある儀礼彫刻です。
#93
#94
#95
シトロエン・リクトリア C6(教皇ピウス 11世のセダン)
1930年のシトロエンが教皇仕様に仕立てられています。長いホイールベースと後部の開閉構造、教皇紋章が、四輪の上の近代儀礼を示します。
儀礼馬車から自動車へ移行する初期の「教皇車」を示します。
#96
象牙三連板(コンスタンティノープル工房)
手のひらサイズの小さな教会です。中央にキリスト、翼に聖人が並び、星のような打点の光背がきらめきます。祈りのために開かれる像です。
宮廷様式と私的信心を結びつける、中期ビザンティンの優れた象牙彫刻です。
#97
キージ・コレクションの素描
ペンやチョーク、淡彩による工房のシートです。素早い頭部や手、衣の研究が、ラファエロ時代の傑作の燃料になりました。
工房の習作を通して、ラファエロの設計過程を直接に見せます。
#98
金箔ガラスのメダリオン(金箔ガラス)
ガラスの層の間に金箔で刻まれた小さな肖像と祝福です。杯の底が切り取られ、信仰と記憶の形見になりました。
後期古代の私的なキリスト教/ユダヤ教/ローマ的イメージの希少な生存例です。
#99
カエリウスの丘の宝物(初期キリスト教の典礼用金属器)
初期教会の金属器がまとまって残る宝物です。聖杯やパテン、ランプなど、素朴な形に新しい信仰のしるしが刻まれています。
ローマにおける初期キリスト教典礼の物質文化を示す、まとまりのある希少な資料群です。
#100
『アルドブランディーニの婚礼』
ローマの婚礼を描く貴重な壁画です。ヴェールの花嫁、結ばれる右手、松明を持つヒュメナイオス。愛と法と儀礼が、落ち着いた一場面に収まっています。
ローマ家庭壁画とアウグストゥス時代の嗜好を示す基準作です。
#101
ウィア・グラツィオーザ出土の『オデュッセイア』壁画連作(ホメロス『オデュッセイア』の場面)
古代ローマがホメロスと出会います。霧がかる海景の中を小さな人物が旅し、キュクロプス、ライストリュゴネス、キルケーが一つの長い絵の航海として続きます。
叙事詩の物語を連続風景画へ翻訳した、ローマの「オデュッセイア風景画」の基準作です。